豪雨災害を受けた親族の家。その敷地で新築を考えた施主夫妻は、家に求めるインテリアの好みがまったく違います。夫は洋館のように重みがあり、陰影のある空間が好み。一方の妻はモダンでスタイリッシュな空間を望んでいました。唯一、共通していたのは「家っぽくない、みんなが驚くような建物がいい!」という点。テイストは違うけれど知人の建物が「驚くような家」であったことから、建物を手がけたアクティブ・アート建築家の湯浅さんにアクセスしました。
「こんなとりとめのない話をして、設計の参考になるのかな」。住宅について詳しくない施主夫妻は、心配をしながらも湯浅さんとの会話を重ねていきます。2人の住まいに求めるデザインの方向性の違いも、思いきって告げることができました。そういったコミュニケーションのプロセスを経たのち、2階建てを希望されていたご夫婦に対しての湯浅さんの提案は「半平屋建て」というプランでした。