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日常を
「5つ星の快適」で満たす
田園のなかの二世帯住宅

有限会社 アーキテクト工房Pure
髙岡文紀

  • 高い性能と豊かなデザインを

    築100年にもなる建物を二世帯住宅へと建て替えるにあたり、何よりも重視したのは住宅性能。冬には雪が降ることもあり、下手をすれば屋外よりも寒かった邸内。こうした環境のもと、年中快適に暮らせる高性能住宅を…との依頼を受けて、パッシブハウスの実績を誇る髙岡さんが断熱性や気密性、自然エネルギーの活用をテーマに建物を計画しました。

    人生においてもっとも長い時間を過ごす建物は家。日々の暮らしが心地よくあることはもちろん、いつか役割を終えたときに、できるだけ自然へと還る素材を使うのも髙岡社長のポリシー。無垢材、漆喰壁、紙クロス、リノリウム※など目や肌に触れる仕上げ材はすべて呼吸する自然素材。これらの素材に愛着の持てるデザインを施しました。

    ※リノリウム…亜麻仁油を主原料とし、ジュートなどの植物繊維や石灰石、木粉などを混ぜて製造された天然成分の建材

  • 二世帯の距離感、思い出の継承

    恵まれた敷地に対して、東西に長い建物は、中心に子世帯の玄関を配置。玄関ホールは親世帯とのゾーニングの役割を担っており、十分な広さを確保しています。中からの出入りも可能ですが、基本的には玄関を分けて二つの世帯の程よい距離感をキープしています。東側の子世帯は二階建て、西側の親世帯は平屋とそれぞれの暮らしやすさも叶えました。

    旧宅には立派な材も残されていました。これらを活かすべく、子世帯のダイニングテーブルは、旧宅の床板の欅材をリメイク。また親世帯のダイニングテーブルは、上がり框に使用していた桜材をリメイク。他の場所にも古い材を取り入れており、活かせるものを活かしながら、旧宅の思い出を語り継ぐことができます。

    自然石や枕木を使ったロックガーデンに彩られた建物。南に向けて大きく軒を出して、夏の日射を遮蔽し、冬は邸内に太陽光や太陽熱を取り込むよう計画されています。

    子世帯の玄関の框に使われているのは旧宅から受け継いだ材。ホール床下には長年使われてきた井戸を隠しています。この地下水をポンプでくみ上げ、外まわりの水をまかなうことも。

    1階と2階がゆるやかにつながり、圧倒的な開放感を描いたLDK。木製のストリップ階段※はインテリアとしても美しさを際立たせています。大窓には木製のトリプルサッシを採用。
    ※ストリップ階段…踏み板と骨組みのみで構成され、閉塞感がなくデザイン性も高いのが特徴。スケルトン階段、オープン階段とも呼ばれる。

    LDKの床は杉の柾目を浮造り※仕上げに。裸足になれば、その触感とぬくもりがダイレクトに伝わってきます。冬は太陽の熱により、床面がポカポカと暖かくなる効果も得られています。
    ※浮造り…木目のやわらかい部分をブラシで削り、凹凸を強調した加工

    1階と2階をシームレス※につなげることで、家族がコミュニケーションを図りながら暮らせます。これほどの開放感に満ちた大空間ですが、空調はエアコン1台でOK。
    ※シームレス…内と外の境界を感じさせないように空間をつないだ状態。

    子世帯2階はワンフロアの子ども部屋。家族が増えたときには、収納などで仕切りをして、フレキシブルに使用することができます。

    2階フロアからの眺め。ほとんど仕切りのない空間ですが、高い断熱性、気密性により邸内の温度はほぼ一定の心地よさをキープ。

    ダイニングテーブルは、旧宅の床板の欅材をリメイク。「実家の思い出を残したい」という施主の願いに応えました。

    玄関から取った裏動線上には、水まわりや収納、ランドリーコーナーなどを効率よく配置。日々の家事ストレスをできるだけ減らしています。

    親世帯の水まわりとランドリー。コンパクトながらもフルオープンの引き戸など、便利な暮らしに配慮した空間となっています。

    子世帯の玄関ホールは建物の心臓部。約99%熱交換をするオランダ製の24時間換気システムが置かれています。他にチリやホコリを約98.5%吸着する外気清浄機もあり。

    親世帯のLDK。子世帯同様に自然素材を多用し、陽の光に満たされた心地よい空間。こちらのダイニングテーブルは、旧宅の上がり框に使用していた桜材をリメイク。

Designer

有限会社 アーキテクト工房Pure
髙岡文紀Fuminori Takaoka
1961年内子町生まれ。2003年(有)アーキテクト工房Pure設立。真の高性能住宅を手がけるビルダーを率いる。一般社団法人パッシブハウス・ジャパン理事、四国地区エリアリーダーを兼任。
■ 好きな音楽/フォークソング ■ 趣味/キャンプ、洗車 ■ 特技/ギター弾き語り(吉田拓郎さんの楽曲) ■ 休日の過ごし方/マイカーで県内外のキャンプ場へ ■ 好きな海外/ドイツ。家づくりや暮らし方のヒントを得ている

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