ROOM TOUR

既存建築の左側を少し減築し、キッチン&水まわり部分として新たに半円型の塔と平屋をつなげました。これが不思議と馴染んでいます

玄関に敷き詰められた2色のタイルは既存のもの。施主も叶さんもレトロなデザインを気に入っており、残す方向で話がまとまりました

玄関の正面の壁を曲線にくり抜き、和室へそのまま通り抜けられるようにしました。オイル吹きをした天井や古材を活かした框なども味わい深いものとなっています

玄関を入ってすぐ右手にあるギャラリーカフェスペース。壁を取り払うことで土間を広げ、この空間を実現しました

淹れたてのコーヒーで来客をもてなすギャラリーカフェには、改修の際に出てきた古材でカウンターを造作しました。左手の観音扉は収納かと思いきや、実はトイレというのもユニーク

飾り窓や建具は活かしつつ、天井を抜いて梁をあらわしに。元は和室だったのを、ゆるやかな勾配で開放感を感じられる居室に変更しました

部屋をつなぐ通路であり、縁側でもある片廊下。突き当たりはガラス窓になっており、視線の抜けを得られます

曲線をつたい、開口から光が注ぐキッチン。ちょうどガステーブルの位置にあたるので、料理シーンを明るく照らします

キッチンから少し下がったところにウォークインクローゼットを確保。既存の梁も見せながら、生活動線もスムーズに計画されています

キッチンは全体的にリノベーション。ステンレスのオーダーキッチンは、下部をあえて見せる収納にし、自身で自由にレイアウトができるようにしました

タイル使いが素敵な造作の洗面所。収納も十分に確保し、使い勝手とデザイン性を兼ね備えた空間

開口を抑え、落ち着いた雰囲気に仕上げたトイレ。焼き物の洗面ボウルなどさりげないこだわりが日常を豊かに

  • 既存建築の個性を踏襲しつつ、今の暮らしを意識した改修

    三世代にわたり住み継がれてきた築75年の日本家屋。「昭和20年代、祖父と父が木材を自分たちで運び、築いたそうです」と施主。傷んでいる箇所もありましたが、思い入れも深いこの住まいをなんとか活かせないか…そう考えていたとき、リノベーションを多数手がける叶さんに出会いました。

     

    「年月を経て、味わいが深まっていく感じが好き」という施主の想いを汲み、柱や梁などの既存構造やしつらえを活かしたリノベーションを計画。「好きなものを飾り、友人らを招いてゆったりと過ごすギャラリーカフェスペースを」とのオーダーに対しては、玄関を入ってすぐ右手の壁を取り払い、ひとつづきの空間に古材のカウンターを造作しました。

  • 住み手の趣向と営みを柔軟な発想で表現

    「初めてこの家を訪ねたとき、庭にあるサボテンを見て叶さんはひらめきました」と話します。「玄関の前にある壁を取り除けば、扉を引いた瞬間にサボテンが見えるじゃないか」と叶さん。そこで大胆にも壁を曲線にくりぬき、庭、さらには土手まで見通せる“抜け”を実現しました。

     

    玄関を上がってすぐの和室は既存のたたずまいはそのままに、隣の和室は板間に変更。天井を抜き、梁をあらわしにして高さを出しました。飾り窓や欄間などの美しいしつらえも残しています。

     

    昔の日本家屋に見られる暗い台所の改修は、「とにかく明るく広く」を意識。叶さんは半ドーム型の塔のような構造物を新たに築き、上部に設けた開口からキッチンに光が降り注ぐようにしました。このような大胆な変化が可能なのも、日本家屋の構造を熟知しているからこそ。歴史を紐解くリノベーションにより、心地よい暮らしともてなしの場所となりました。

Designer

saw design office
叶 貴美
Yoshimi Kanou
1975年松山市生まれ。(株)バツフォ計画工房勤務後、ヨーロッパ放浪を経て2010年にsaw建築設計事務所を設立。一級建築士。事務所の1階にある「わかくさ珈琲」のオーナーでもあり、こちらの店内も自身で設計。淹れたてのコーヒーを飲みながら、“まったりじっくり打ち合わせ”が叶さんのスタイルだ。
■ 好きな音楽/低空飛行(ポッドキャスト) ■ 好きな建築家/ジェフリーバワ ■ 好きな本/センスオブワンダー ■ 特技/スケッチ ■ 趣味/世界旅行、冬山登山

Designer

会社名
saw design office
対応
住宅、商業施設、保育園、その他建築物の企画、デザイン、設計及び監理
アクセス
松山市若草町2-10
電話番号
089-993-6945
営業時間
定休日

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