「子どもの頃からモノづくりが好きで、犬小屋や棚、ウッドデッキなんかを自作していました」と話す近藤さん。そうした体験が建築家としての原点になったそう。また、住宅営業や鳶職などの前職の経験で、施主に向き合う姿勢や現場の空気を学ぶことができました。「これらが、設計士としての考え方や取り組みに活かされています」。
プライベートで出かけたとき、意識せずとも設計士目線で観察をしているという近藤さん。「飲食店であれば厨房やフロアの動きを観察し、ストレスのない動線を考えています。そこで感じたことを、アイデアとして蓄積しています」。また施主と向き合ったときには、ヒアリングした内容から想像力を膨らませて、機能性と遊び心のある空間づくりへと結びつけています。
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株式会社コラボハウス近藤 正隆Masataka Kondo西条市生まれ。大阪工業大学建築学科卒業後に就職した大手建設会社では、設計職を希望するも営業職を拝命。在職中に実兄の新築のプランや資金計画をアドバイスしたことが転機となる。2年半の勤務をへて退職し、知人に頼まれて鳶職を経験した後に、2010年にコラボハウス愛媛に入社。二級建築士、暮らし省エネマイスター。■ 趣味/DIY、アウトドア全般、釣り ■ 特技/薪割り、料理(魚を捌く)、工作 ■ 好きな本/Casa BRUTUS ■ 好きな映画/マーベル映画 ■ 好きな建築家/伊礼智、堀部安嗣 ■ 休日の過ごし方/掃除や庭仕事など家まわりのことをする
建築家ボイス
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これまでに経験したことが設計士としての礎
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家は、家族の「ルール」が形になった空間
設計士として、たくさんの建物を手がけてきた近藤さんがいつも心がけているのは、住み手や使い手のルールが、デザインとして投影された空間づくり。「家族には独自のルールがありますから、ストレスなく、気持ちよく自分たちらしく生活できる場にするには、“ルール”を形にすることが必要です」。セオリーに捉われず、間取りや仕掛け、素材選びを行うことで、家族の「ルール」を形にしています。
設計において、間取りや動線の次に考えるべきは、内装に使う素材、その色やデザイン。「施主さまの好みを重視しながらも、比較的抑えたシンプルなテイストを提案することが多いですね」と近藤さん。その理由は、生活用具や家具、インテリア雑貨を映えさせる場にしたいから。「モノを置いたときに完成する、ベーシックで品の良さを追求したい」と考えています。
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自分を豊かにしてくれる家族と過ごす時間
キャンプや釣りなど、アウトドアレジャーが好きな近藤さん。「キャンプ場に出かけることもありますが、子どもが幼いこともあり、家のなかや庭でアウトドア気分を楽しむことも多いですね」。たとえば、庭に野菜や食べられる実がなる木を植えて、収穫の喜びを共有するのもそのひとつ。そうしたガーデンライフを自ら体験することが、施主への提案に結び付くことも多いそう。
子どもの頃から好きだったモノづくりは、現在も趣味のDIYとして継続中。スタッキングできるおもちゃ箱、ミニテーブルなど、時間を見つけてはデザインから製作まで取り組んでいます。また自邸に据えた薪ストーブのための薪割りにも没頭。「設計の仕事はデスクワークが多いですが、自分が体を動かして完結できる作業は、仕事の段取りを考えるときに役立っているかも」と笑います。
使いやすさを考慮しながら自作したおもちゃ箱やテーブル。売り物になるほどの完成度はさすが。
庭につくった薪棚も自作。薪割りは、無心になれる貴重な時間。