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小さな家で、のびやかに暮らす

株式会社 クラス
安倍めぐみ

◎夫婦+子ども2人 ◎木造2階建て ◎延床面積/87.64㎡(26.5坪)

  • 光と陰、高低差、素材…対比が生むゆとり

    緑豊かな高台で、のんびりと暮らしたい。そんな施主の要望に対し、安倍さんは土地探しからサポートしました。お目当ての土地は緩やかな傾斜地で土地が段々になっていたため、1階では充分な明るさを確保することが難しいと判断。そこで、「人目を気にせず、家族でくつろげる場所を」というオーダーに応える形で2階リビングを提案したといいます。

    1階の寝室や和室、2階廊下の天井面は低めにすることで落ち着ける空間に。北側の明かり窓にはすりガラスを用いて、やわらかい光に留めています。一方、2階のリビングは勾配天井で空間に広がりを。空間に高低差をつけることで、坪数以上のゆとりを生み出しました。

  • 限られた敷地を居心地の良い空間に

    壁は調湿性に優れた珪藻土クロス、足触りの良い無垢の床は国産の松材。家具や建具も含め、自然素材の質感を活かした邸内で、子どもたちも健やかに。素足で走りわる愛らしい姿を見せてくれているそう。

    またリビングの窓には施主たっての希望でレース障子を採用。閉め切っていても外の景色が透けて見え、光と風を心地よく通すレースの抜け感が秀逸。この障子をはじめ、キッチンの収納棚や本棚、扉などの建具も造作し、統一感のあるインテリアで空間をすっきりと収め、小さくても居心地の良い家を叶えました。

    アシンメトリーな三角屋根がスタイリッシュな佇まい。隣との段差で光が届きにくい右側には寝室を配置しています。

    木製扉とガルバリウム鋼板※の外壁。異素材の対比が特徴的な玄関まわり。植栽までトータルでプランニングしました。
    ※ガルバリウム鋼板…金属鋼板をアルミニウム・亜鉛・シリコンでめっきした建材で、外壁材や屋根材として使われることが多い。

    玄関の左側は、外で使うものを収納するスペースに。玄関扉と合わせた扉を造作し、トーンを統一しています。

    玄関扉を開くと、南から北へ伸びる廊下が延び、北側の明かり窓が時の経過を映します。家に帰ったら手洗いを習慣づける洗面台も造作。

    1階の和室を家族の寝室として使用。道路に面した南側の窓枠は少し上げて、人目を気にせず横になれるように計画されています。

    2階だから実現した、やさしい光に包まれるリビング。窓の外に広がるバルコニーも、プライバシーが守られた空間です。

    リビングの一角に設けたカウンター&本棚のスペース。ゆくゆくはお子さんの勉強机としても活用される予定です。

    ラワン合板の層をあえて見せたキッチンの収納棚。ウエハースのように重なった層がデザインのアクセントに。

    リビングの隅にひっそりと小上がりの畳スペース。右の階段はロフトにつながっています。

    畳スペースから見る2階廊下。こちらも北側にはすりガラスの明かり窓を採用。一番奥の右側に洗面脱衣&浴室があります。

    念願だったというレース障子。和紙とはまた違う質感で光と風を通してくれます。西日が透けて、木に映る陰模様も美しい。

    小上がりの畳スペースは、リビングと同じフロアですが、半独立の雰囲気。ちょっと一人になりたいとき、受け止めてくれる場所です。

Designer

株式会社 クラス
安倍めぐみMegumi Abe
愛媛県松山市生まれ。愛媛県立松山工業高等学校建築科を卒業後、ハウスメーカーなどで家づくり全般に携わる。結婚・出産を経て、女性ばかりの工務店「クラス」に入社。女性目線・母親目線での家づくりを心がけている。二級建築士、宅地建物
取引士、インテリアコーディネーター、住宅省エネルギー設計技術者。プライベートでは2児の母。
■ 好きな音楽/寝る前に聴くラフマニノフ ■ 好きな本/最近は歴史の本を長男と読んでいます ■ 好きな建築家/黒川紀章 ■ 特技/パンづくり ■ 趣味/旅行、アウトドア

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